2020年5月10日日曜日

ギターケースの修理(スピードステッチャー使用)

2020.April.11.

 宮古島単身赴任からようやく自宅に戻り、引っ越し荷物との格闘もほぼ終わった。

 片付け中に自宅に置きっ放しだった愛用ギターのケースを動かしてみるとケースが壊れていた。

 大学入学と同時に手に入れたYAMAHA L-8。ケースも当時のままである。ケースの蓋の縁を縫い付けてあった白い糸がボロボロになって切れている。もちろん表皮も相当ダメージを受けている。36年も経過しているのだから仕方ないのかも?
 「YAMAHA L-8」で検索すると「ビンテージ」という表記がよく見られる。ということはこのケースもビンテージ・ケースなのだろうか? (なんて冗談)
 当時8万円で購入したものだが、現在の中古市場での価格も8万円前後のようだ。当時の8万円は現在で言うといくらになるのだろうか? と疑問を持った。

 物価についてGoogle先生に聞いてみると「消費者物価指数」を教えてもらった。さらに調べてみると「e-Stat 政府統計の総合窓口」に消費者物価指数が記載されているのに出会った。「楽器」は「教養娯楽用耐久財」項目に該当するそうである。
 根拠としたデータは「消費者物価指数 / 2015年基準消費者物価指数 / 長期時系列データ 都市階級・地方・大都市圏・都道府県庁所在市別中分類指数」の年平均である。

 教養娯楽用耐久財の昭和58年の消費者物価指数は2245.8。令和元年は96.4。逆に下がっているので疑問に思って調べてみると「株式会社フジトミ」様の「物価変動を品目別にみてみると何か見えてくる?」に「これら教養娯楽用耐久財は今とは比べものにならないほど高級品だったことが消費者物価からも伺い知ることができます。」の一文が・・・。

 ということは、教養娯楽用耐久財について言えば昭和58年の1万円は令和元年の429.2円になるのではなく、逆に令和元年の1万円は昭和58年では232,966.8円に相当すると考えて良いのだろうか?
 とすると当時8万円のL-8は現在の価格相当だと約186万円? それはありえないだろう。本当にこの考え方が合っているのか素人なのでわからない。180万だとLL86 Customが買えてしまう。

 いやいやそれはいくら何でもそれはないでしょう?! ということで、「やるぞう」さんの「消費者物価計算機 1902-2017」を利用させて頂いた。そこでの計算だと昭和58年の8万円は平成29年の98,191円(1.23倍)になるとのこと。まあ、これは消費者物価指数全体での計算だから微妙な差はあるはずである。

 詳しく妥当なところをご存じの方は教えて下さい。経済は全くのド素人です。



 またまた、大きく脱線してしまったがケースの修理を行わなくてはならない。

 ケースの破損状況は以下の写真の通り。

ケース蓋の一部が縫い糸の破断。

縫い穴だけに糸の残りが。

経年劣化は避けられない。

 30年程前にザックの修理の為に購入したハンドステッチャー(スピードステッチャー)を持っている。こいつの出番は数年(10年程?)に一度ぐらいだが、なくてはならない物になっている。調べてみるとamazonでも同じ物が未だに販売されている。

スピーディーステッチャー 縫製用AWL
ノーブランド
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スピードステッチャーとはボビン内蔵の手動ミシンである。ただし、針も糸も通常の縫い針、縫い糸より遥かに大きい。専用の糸は手持ちの物はワックスが塗り込められている。

 このスピードステッチャーを使い、綻んで無くなっているケースの糸を補修した。

 始めはステッチャーを刺して貫通させ、糸の端を穴の向こうに長めに通す。長めというのは補修する予定の長さの1.5倍ぐらいが適当のようである。
 次の縫い目からは針を抜く前にステッチャー側の糸(上糸)に長めに取った糸の端(下糸)を潜らせて針を抜く。そして上糸と下糸を強めに引きながら縫い穴の中央で上糸と下糸のクロスする位置を調整する。この繰り返しである。

元の糸の穴に針をぶっ刺して縫う。

針を少し引き抜くとステッチャー側の糸がループ状に
なる。ここに糸の端を通す。

拡大:針の先端の穴から出ている糸(上糸)が
ループ状になる。

拡大:このループに糸の端(下糸)を完全に通す。

拡大:下糸を通し終わったところ。

上糸を引き過ぎると針穴から下糸がはみ出す。

上糸と下糸を引きながらたるみがないように調整する。
これを繰り返す。

 この作業で使用したのは、
 ① スピードステッチャー
 ② 細いプラスドライバー
 ③ ハサミ
 ④ プライヤー
 である。
 後にボビンに糸を巻く時にドリルドライバを使用した。


 細いプラスドライバは何に使ったかというと、最初の糸の端を縫い穴に通す時に使用した。糸にはワックスが付いているので針にくっつき易い。針を刺したままだと、硬くて糸だけを引き抜けない。なので最初針を通した後、ループした糸にドライバを差し込んで糸が逃げないようにした。
 プライヤーは縫い終わりの終端を固く結ぶのに使用。

最初のひと針。

針を抜きかけると糸がループ状になる。

糸を逃さないようにドライバを差し込む。

針を抜いてドライバごと糸を引っ張る。

糸の端が縫い穴を通すことができる。

縫い始める。

 スピードステッチャーの木のグリップには糸を通す経路上にピンが打たれている。このピンはボビンから余分な糸が出ないよう、また、糸のテンションを保つ目的がある。ボビンから出た糸はこのピンに一回巻いて針に通す。糸のテンションを高める時はグリップ上の糸を親指で押さえると良い。

グリップのピン。
無糸のテンションを張る時はこの位置で糸を押さえる。


 縫っている途中の別の写真も載せておく。

針を通す。

針を少し引き抜く。

ループに糸の端を通す。

ループに糸を完全に通す。

針を引き抜く。

 縫い終わりは結び目が目立たない所で普通に上糸と下糸を結ぶだけである。



 スピードステッチャーを入れていた袋には付属品がある。

 説明書(英語)と説明書(日本語)、予備の針、交換用糸である。

日本語版説明書

ステッチャーの針を固定するリングを
外すと中には予備の針を収納できる。

ボビンのない状態のステッチャー。

ボビンを入れる場所。

分解状態。

別途購入した糸
サンプラザ糸満の価格ラベルが付いていた。
今はカインズ サンプラザ糸満店になっている。

右のロールの糸はどこで買ったか覚えていない。


 修理作業中、ボビンの糸がなくなったので巻き直し。面倒くさいのと、ボビンの端に軸の先端が出ているので、ドリルドライバに取り付け高速巻取り。いやこれは便利でした。ドリルドライバは調速できるので、好きなように巻き取れた。

ボビンの巻取りはドリルドライバでズルっこした。

ボビンの糸をステッチャーのグリップの穴に通し、
針の糸穴に通せばセット完了。

予備の糸はまだこれだけあるので、
生きている内に使いきれるか?

番数は150番らしい。

英語版の取扱説明書(表)

英語版の取扱説明書(裏)

 スピードステッチャーなんて一体いつ使うのか? 買っても無駄。と言われそうだが、あると便利と言うか?無くてはならない道具である。少なくとも私には・・・。

 針もそう簡単に折れるものではないし、メーカー送りで修理となると新しい物を購入した方が安くつく場合も多い。わずか2〜3千円の投資で30年以上使える道具というのは極めてコストパフォーマンスが高い。

 一つ不満は、もう一回り細い針と糸があればと言うことぐらいか。

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