2020年4月26日日曜日

イワタニ・プリムス ガス・キャンドルランタン IP-G-CANDLE その2

2020.April.26.

 「イワタニ・プリムス ガス・キャンドルランタン IP-G-CANDLE 」のコメントで頂いた分解について、ようやく本日分解してみました。

 ただし、事前に謝罪させて下さい。かつて若気の至りで力任せ?で締めたネジが外しきれず、途中で諦めました。出来たところまでのご紹介です。また、ランタン下部しか分解したことがありません。上部が壊れたら諦めて分解してみるとは思いますが、現在調子いいので敢えてチャレンジする度胸はありません。怖いです。


 ではここからが本題・・・。

 私のIP-G-CANDLEは購入した直後、インスタントレタリング(今は絶滅しているとか?)でガス容量と燃焼時間を表記している。(この手の癖は未だに健在。)

IP-G-CANDLE
IP-G-CANDLE


 ひっくり返すと、中央にガス注入孔 兼 火力調整用ノブがある。このノブは通常の右ネジになっており、マイナスドライバやコインでそのまま外すことができる。

IP-G-CANDLE
本体底のガス注入孔


 ガス注入孔の外側のリング状のネジにはツメを掛けられるように2箇所切れ込みがある。ここに先端の細い工具を引っ掛けてリングを回す。

 時計用工具が最適だが持っていないので、サークリッププライヤーを使用している。

使用したのはマイナスドライバと
サークリッププライヤー。


 サークリッププライヤーの先端をこのリングの2箇所の凹部に引っ掛けて回す。これも通常の右ネジなので反時計方向に回すと外れる。

 このリングを抜き取るとランタンの底が外れる。

IP-G-CANDLE
このリングはネジになっている。

IP-G-CANDLE
リング状のネジを外した。

IP-G-CANDLE
ランタンの底は持ち上げると簡単に外れる。


 ガス注入孔のガス漏れならこの作業は不要。リング状のネジを外さなくても注入孔はマイナスドライバで外せる。

IP-G-CANDLE
底の中にはイグナイタ(圧電素子)がある。


 私のランタンのイグナイタはすぐに壊れたので100円ライターのイグナイタと交換してある。ほぼ同じサイズ物と出会うのにしばらくかかったのを覚えている。


 ガス注入孔を取り外す。この作業の前には必ず中のガスを抜いておくこと。ガス圧で注入孔が飛んだり、引火する危険がある。

IP-G-CANDLE
ガス注入孔の取り外し。


 ついでにイグナイタを固定しているネジを外そうとしたが、固くて断念した。 

IP-G-CANDLE
ごめんなさい。
以前相当締めてしまっていたようである。

抜き取ったガス注入孔

 ガス注入孔がこれだけ長いのは、ランタン上部のガス吹き出し口の流量調整を押し上げるためのようである。

 ガス注入孔の下側の先端にはOリングが入っている。以前修理した当時、このOリングと同じサイズのものが探せなかった。なので当時と同じ方法で今回もOリングを交換してみた。

Oリングの入る溝の径は6.2mmであった。


 ホームセンターでも手に入るサイズのOリングで手持ちのものの中から外径約8.4mm、内径約5.5mmのものを使用した。
 ただ、このOリングでは少し太い。ピッタリのものを探せればいいのだが。

外径約8.4mm

内径約5.5mm



 Oリングを嵌める時に私はシリコンスプレーを軽く付けている。

 Oリングを嵌めたガス注入孔を押し込むとOリングがサイズオーバーなのではみ出したOリングは入りきれずに切れる。これでも過去大丈夫であった。
 今回分解する前にガスを入れたのは5年ほど前。ガスは抜けずに結構残っていた。

IP-G-CANDLE
オーバーサイズのOリングは余分な部分が切れる。

 もう一度ガス注入孔を抜き取って、Oリング自体が破損していないことを確認する。

IP-G-CANDLE
Oリング自体が切れて破断していないことを確認する。


 ネジ部にシリコングリスを薄く塗る。ついでにOリングにも指で塗り広げる。

愛用のシリコングリス

IP-G-CANDLE
ネジ部にシリコングリスを塗る。

IP-G-CANDLE
指で塗り広げる。
これで気密性もアップ。


 ガス注入孔とランタン底部を組み上げる。
 ガス注入孔を組み込む際は、注入孔の先端(細い方)を必ずタンク奥の穴に入れること。そうしないとネジを締めても入らない。ここが要注意ポイント。

 
 ついでなので、ホヤと燃焼部付近の清掃を行う。

 ホヤはUCOキャンドルランタンと同じように3本の支柱で固定されている。ランタンの胴を指で潰すように握りながらひとつずつ支柱の下を外していく。この時、絶対に無理をしないこと。ホヤが割れたりランタンが変形してしまうことが考えられる。

IP-G-CANDLE
ホヤの支柱の外し方。


 燃焼部が剥き出しになると着火部の針金と燃焼ノズルが露出する。燃焼ノズルの先端には細いバネのような部品がある。これらの部品に袖を引っ掛けて破損させないよう要注意!!

 汚れていたタンク頂部をコンパウンドで優しく磨いた。ホヤは洗剤で水洗い。

 組み立ては分解の逆の手順。

 【注意】ランタン上部を組み立てる前に、世界地図プレートの位置と吊り金具の向きを確認すること。これを怠るとランタンが斜め向きになってしまう。

ガラスコンパウンドで磨いた。

IP-G-CANDLE
ランタン上部の部品

IP-G-CANDLE
ランタンの最上部に支柱を嵌める。

IP-G-CANDLE
支柱にホヤを入れる。
※ランタン上部は写真右下が正面になる。


IP-G-CANDLE
組み立て後。


 ガス注入孔も分解できそうではある。多分、ネジが切られている下部が外れるはずなんだが、固くて回せなかった。IP-G-CANDLEをあと2〜3個所有していれば、ひとつぐらいは部品取り用に完全分解することができるのだが・・・。完動品をこれ以上分解する度胸は私にはありません。

 何かのヒントになれば幸いです。



 おまけ
 私のIP-G-CANDLEには自作のアクセサリーを付けている。
 100均の自転車の鍵(鍵本体は壊れて捨てた)で作った火力調整用のマイナスドライバと、カセットガスから充填するためのアダプタである。

左からガスアダプタ。
下がドライバ。

ガスアダプタの先端。

カセットガス側。


 充填アダプタはキャップ付き歯間ブラシとライターガス缶付属のアダプタを材料に制作したものである。カセットガス側には1mm厚のゴム板で作ったパッキンを入れてあるのでガス漏れは皆無である。

2020年4月8日水曜日

空きビンで作るキャンドルランタン ③ (防災用キャンドルランタンとして)

防災用キャンドルランタン
防災用キャンドルランタン

 現在私が住んでいる所は、昭和40年代中頃に建てられた物なので、隙間風が半端無い。台風時はサッシの隙間を新聞紙や雑巾で詰め、梱包テープで目張りしても吹き込んで来る。窓という窓に目張りしても世を儚んだりしてはいない。夏場以外は目張りは外しているので換気したくなくても換気充分である。ちなみにトイレの床の排水口はトラップが作られていないのか、風向きによっては部屋中汚水の匂いが充満する。対策として100均のシリコンラップシートで排水口を塞いでいる。掃除の時はペラっと剥がせば大丈夫。さらに台所のシンクの下の収納の奥からは床下の風が吹き込んでくる。調理中足元が寒くて気がついた。
 つまり酸欠の心配は皆無である。

防災用キャンドルランタン
癒やしの明るさと暖かさ。
※何かの儀式ではない。



  先週、宮古島でも結構気温が下がった日が数日続いた。なんと明け方の最低気温15℃である。
 「はあ? 15℃で寒いなんて言えるかよ?」と思った方も多いかも知れないが、ここは沖縄本島より更に南の宮古島である。北緯24度48分である。年平均気温の平年値は23.3℃である。
 面白いので調べてみたが、中華民国(台湾)の台北市は北緯25度5分。宮古島は台北より赤道に近い。ちなみに東京都は北緯35度41分、年平均気温15.4 ℃らしい。東京からは緯度的に11度も南である。経度は東京が東経139度41分、宮古島は東経125度16分らしいのでその差14度25分。15度で1時間の時差になるので、朝は1時間遅く、夜も1時間遅い。

 脱線したが、その数日はエアコンのヒーターを入れるまでもないので、キャンドルランタンとアロマポットのキャンドルを満喫した。その時の写真が上の写真である。怪しげな祭祀をとり行なっている訳ではない。単身赴任中なので、内心では魅力的なサキュバス嬢でも召喚できれば!と少しは思っていたのだが・・・。
 ふすまを取り払った約17畳の室内(全床面積)も、8つのキャンドルを使うとほのかに暖かくなった。
 
 そういえばキャンドルを使った「キャンドルヒーター」なるものが売られているようだ。ふぅんと思いながらネットの波に漂っていると「キャンドルは電気と違いCO2を排出しない」と言うような記事も見つけた。「?」 である。「!」 である。ありえないと思い、どれぐらいのCO2が出るのか「キャンドル CO2排出」調べてみたら、別のサイトでは「100Wの電球を使用するとCO2排出量は36g」「仏壇用の小さいロウソクで1時間でCO2が12.5g」との記事が。蝋燭の明かりが大体1カンデラ、100W白熱球は約1,000カンデラらしい。キャンドル4個灯すと、100W電球のCO2量を超える。100W電球と同じ明るさをキャンドルで得ようとすると1,000個も灯すことになり、その際のCO2量は12,500g(12.5kg)となる。
 どうもキャンドルは自然環境には極めてエコでは無いらしい。



 長くなったが、ここからが本題。(防災用キャンドルランタンとして)

 翌日、4個目、5個目のキャンドルランタンを触りながらふと考えた。
 このランタンにはキャップがある。この中に必要なものを入れると防災用の照明になるのでは? 必要なものとは光源とのキャンドル数個とランタンを安全に吊るす道具である。このビンの中に全て入れておけばコンパクトにまとまる。テーブルや机に置くより、鴨居や壁に掛けられれば広く室内を照らせる。

 まずはステンレスのヨーオレと2mmΦのステンレス針金を準備した。材料はこれだけである。ヨーオレは壁や鴨居にねじ込んでランタンを吊るす起点とする。
 ヨーオレってなんぞや? と思って調べたら「洋折」らしい。

ステンレスのヨーオレ

2mmΦステン針金



 次に針金で三つ折りのワイヤーを作る。これは高さ調節用のものである。

防災用キャンドルランタン
三つ折りワイヤー



 壁にヨーオレをねじ込んでもランタンが壁に接すると火災の危険がある。壁から距離を取りたい。ヨーオレから延長できるアームを考えた。
 延長アームは下の写真のように針金を曲げただけ。

防災用キャンドルランタン
左:ステンレスヨーオレ
右:延長アーム

防災用キャンドルランタン
ヨーオレと延長アームの接続状態。


 使用方法はまず壁にヨーオレをねじ込む。(自分の家ではないので手持ちの工作用の杉板を使用してみた)

壁にヨーオレを取り付ける。


 ヨーオレの先端から延長アームの環状の部分を差し込み、ヨーオレの奥に通す。

防災用キャンドルランタン
ヨーオレの先端から
延長アームの環状の部分を
差し込む。

防災用キャンドルランタン
そのまま奥に通していく。

防災用キャンドルランタン
延長アームをくるりと回転させる。

防災用キャンドルランタン
途中の環にヨーオレの先端を入れる。

 
 延長アームの途中の環にヨーオレの先端を入れる。

防災用キャンドルランタン
環にヨーオレの先端を入れた。

防災用キャンドルランタン
止まる所まで入れるとOK。
これで延長アームは捻れない。


 延長アーム先端のフックが上を向くのでここにランタンを吊るす。

防災用キャンドルランタン
延長アームにランタンを吊るす。

防災用キャンドルランタン
真横から見ると壁から離れている。

防災用キャンドルランタン
ピンぼけでごめんなさい。
壁からランタンの口まで
最短で6cm離れる。

防災用キャンドルランタン
ヨーオレ、延長アーム、ランタンの位置関係。


 この延長アームを使うことで、ランタンの口と壁は6cm離すことができる。ランタンの中心からは約8cmである。キャンドルの炎の高さは高くてもビンの半分程度。裸火ではないので、カーテンの側やカレンダーの下ではない限り危険゛性は少ないと思う。

 次に鴨居に吊るす方法である。
 ヨーオレを鴨居のなるべく下の位置にねじ込む。(ギリギリ下だと鴨居の木材が割れてヨーオレが落ちるので注意) 三つ折りのワイヤーでランタンを吊るす。

防災用キャンドルランタン
鴨居に吊るしてみた。

防災用キャンドルランタン
18cmの距離を確保。



 三つ折りワイヤーのおかげで鴨居の下端より18cmの距離が取れる。

 ヨーオレ、延長アーム、三つ折りワイヤー、キャンドル4つがこの空きビンランタンに入り、蓋を締めて保管できる。ちなみにキャップの印刷は白のタッチアップペイントで塗装した。吊り下げ用のハンドルはビンに密着するように収納できる。
 キャンドル1個の燃焼時間は約3〜4時間。4個で12〜16時間である。キャンドルが補充できれば半永久的に使用可能である。もちろん吊るさなくても机上に置いて使用することも可能である。

防災用キャンドルランタン
ヨーオレ、延長アーム、三つ折りワイヤー、
キャンドル4つを収納できる。
防災用キャンドルランタン
吊り下げ用のハンドルは邪魔にならない。

防災用キャンドルランタン
これで防災用キャンドルランタン
1セット。

 ビン自体は蓋を使えば密閉容器になっていたのだが、ガラス瓶底部に吸気孔を開けているので密閉性はない。適度なサイズの厚めのジップロック等に入れておけば防水性も保てるだろう。ちょっと大きめの袋になら追加のティーライトキャンドルも一緒に入れることも出来る。

 各部品の重量を調べてみた。
 ①ビンと吊りハンドル・・・・132g
 ②蓋・・・・・・・・・・・・   7g
 ③延長アーム・・・・・・・・   4g
 ④三つ折りワイヤー・・・・・   4g
 ⑤ヨーオレ・・・・・・・・・   2g
 ⑥ティーライトキャンドル・・  13g
 ⑦上記①〜⑤と⑥×4個・・・・197g
 上記の⑦がワンセットとしての総重量になる。ガラス瓶の重量が結構あるので重い。非常持ち出し袋に入れるのであればUCOのキャンドルランタンがBESTである。しかし、家に置いて置くのであればこれで充分であろう。工具代を除けばステンレス針金とヨーオレ代だけでキャンドルランタン自体は無料である。

防災用キャンドルランタン
ビンと吊りハンドル132g

防災用キャンドルランタン
蓋 7g

防災用キャンドルランタン
延長アーム 4g

防災用キャンドルランタン
三つ折りワイヤー 4g

防災用キャンドルランタン
ヨーオレ 2g

防災用キャンドルランタン
ティーライトキャンドル13g

防災用キャンドルランタン
上記全部ひとまとめ197g





 おまけ・・・。

 ランタン用スタンドを追加した。今度は脚部を三角にしてみた。また、柱は半分まで2本。2本部分の上と下は2mmΦの針金で巻いて締め、さらに瞬間接着剤を流し込んでいる。安定度が極めて向上した。

ランタンスタンド
ランタンスタンド数種。

ランタンスタンド
脚部の構造のアップ。

防災用キャンドルランタン
吊るしてみた。

 作業が全て終わった夜。また、キャンドルを灯して癒やしの時間を過ごした。

サキュバス召喚
くれぐれも儀式ではない。


 この記事を書いている今日現在。毎晩のようにキャンドルを灯しているが、どうしてもサキュバス嬢は出てきてくれない。

キャンドルの灯火に心だけは癒やされながら、ひとり寂しい夜が更けていく・・・。


[自作 空きビン 空き瓶 キャンドル ランタン]